十大家紋:藤紋

日本の家紋の一種、藤紋はヤマフジのぶら下がって咲く花と葉を「藤の丸」として図案化したもので、寿命が長く繁殖力の強いめでたい植物です。

十大家紋:藤紋 由来と意味

江戸時代には武士の間で使用

日本には多くの家紋が存在し、その中でも藤紋は広く使用されています。藤紋はヤマフジの花と葉を「藤の丸」としてデザイン化したもので、元来は「下り藤」と呼ばれていました。15世紀ごろに書かれた『見聞諸家紋』などの文献に初めて登場しました。藤紋は『吾妻鏡』や『太平記』には登場せず、武家の間では室町時代末期の14世紀後半に流行したと考えられています。江戸時代には武士の間で使用される家が170家にも及び、十大家紋の一つとしても知られていました。

藤紋の種類

藤紋の図案には、上り藤、下り藤、一つ藤巴、藤輪、利久藤、三つ追い藤、黒田藤巴などがあります。藤紋は寿命が長く、繁殖力が強いことからめでたい植物としての意味合いも持ちます。

藤紋と藤原氏の関係

藤紋の由来には藤原氏が関係しています。藤原氏はかつて日本で最も栄えた一族であり、その代表紋として藤を使用していました。藤原氏はもともと中臣氏でしたが、中臣(藤原)鎌足が大和に藤原の里を下賜されてから藤原氏が誕生し、その後まで繁栄を遂げました。この藤原氏の栄光にあやかり、人々は藤紋を使用するようになったのです。

藤原氏は摂政関白を独占し、一族が広く繁栄していました。藤原氏から分かれた家々も藤を家紋として使用しました。藤原氏は公家藤原と武家藤原に大別されます。公家の五摂家である近衛家や鷹司家は牡丹を家紋としていますが、九条家・二条家・一条家は藤紋を使用しています。

武家の藤原氏は秀郷流・利仁流・南家流に分けられますが、これらから派生した家々は何百も存在し、様々な紋章を使用しています。ただし、藤紋を使用する家が多いです。

藤紋はその美しさとめでたさから、今もなお多くの人々に愛され、家紋として広く使われています。日本の伝統と歴史を感じさせる藤紋は、家族や家の絆を象徴する重要なシンボルとなっています。

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